まだ捜すの?

≪ 第37話「人相の悪い男たちがいました」

第38話「まだ捜すの?」

 翌日の朝。またニンバンダが店に駆け込んできて、
「イェラーさん、昨日は嫌な思いをさせて、ごめんなさーい!」
と先日のことを詫びた。謝るぐらいならセア・エットをしつこく捜索するなと思ったが、
「いいわよ、別に。気にしてないから」
 引きつった笑顔でそう答えておいた。
「あれは、お父様の命令なんです! 私はイェラーさんを疑ったりしません! あいつらのこと、思い切り叱ってやりました! もう2度とここに来ることないです!」
 あの男たちだって命が惜しいだろうから、もう2度とここには来たくはないと思うけど。そもそも、ああいう類いの男たちを雇うこと自体を止めてほしい。

「もしイェラーさんがお望みなら、あいつらここに連れてきて土下座させます。思い切り蹴飛ばしてください」
 ニンバンダが真顔でそんなことを言うので、
「い、いえ、けっこうよ」
 彼らは彼らなりに、雇い主の気まぐれに振り回されて苦労してるのね、と思わず同情までしてしまう。

「それにしても、妖精さんが見つかりません!」
 ニンバンダが悲しそうな顔でそう言った。
「セア・エットだって馬鹿じゃないから、いつまでも町に留まってはいないでしょう。もしかして、港から宇宙船に乗ってどこか別の月へ行ってしまったかもしれないわ」
 さり気なく偽情報を流してみる。
「なるほど! 確かにそうかもしれません! 別の月にも手下を送って捜させます!」
 それでも捜すのか。私は呆れて大きな溜息をついた。

 ≫ 第39話「共和国の5月は秋です」

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