部屋に戻りなさい!

≪ 第31話「町中を捜索しています」

第32話「部屋に戻りなさい!」

 その日の午後。モックたちが大挙して店に押し寄せてきて、不思議な品物が並んでいる棚の前でわいわい大騒ぎしていた。
「ぼくは、この小さな音楽隊もらおうっと!」
「ぼくは、このお話を作る本!」
「あー、ずるいぞ、テン! それはぼくがもらうんだ!」
「早いもの勝ちだよー!」
 取っ組み合いが始まった。私は仕事の報酬として、モックたちに好きな品物を1つずつ与えると約束していたのだ。残念ながらモックたちは正義のためだけにタダ働きしてくれるほどお人好しではない。セア・エットを助け出すためとはいえ、あまりに痛い出費だった。軽はずみな約束をしたことを少し後悔している。

 モックは全員で7人。だから7つの品物が棚から消えた。
 損失を計算しながら指先でこめかみを押さえていると、
「イェラ、具合でも悪いの?」
というセア・エットの声。
「いえ別に。出費に頭を痛めているだけ …… て、ちょっと、なんでここにいるの!? 1階に下りてきたらダメよ! お店は人の出入りがあるんだから!」
「だって、あんまり退屈なんだもん!」
「マシュカンに見つかったら、今度こそ一生檻の中よ。はいはい、2階に戻ってね」
 私は慌ててセア・エットを部屋に送り返す。

 ≫ 第33話「ロボットを買います」

スポンサーリンク

コメントをどうぞ

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)