直訴してみました

≪ 第24話「懐かない?」

第25話「直訴してみました」

 およそ無駄だとわかっていたけれど、まずはニンバンダの父親マシュカンに直訴してみた。
「リムシーペルを放せ? なんで大金をドブに捨てるような真似をせにゃならんのだ?」
 彼はこちらの正気を疑うような口調で訊き返してきた。
 やっぱりね。溜息を吐いて肩を落とす。
「あれはな、スカヴアの凄腕ハンターから、大枚をはたいて買い取った珍種なんだ」
 思い切り犯罪だし。外交官特権がなかったら、通報すればすぐに逮捕されるわよ。ついでに言わせてもらえば、そのハンターたちと私は命のやりとりをした敵同士だ。
「そもそも、あれは娘にやったものなのだから、どうするかはニンバンダが決めればいい。そんなことより、目の玉が飛び出るほど高級なブランデーがあるんだ。一杯やらんかね?」
 マシュカンは晩酌を勧めるが、私は「いいえ、結構」と断って、とりあえず今日の所はお暇することにした。

「あんなに小さなヤークル(亜人)は初めて見た。モル・モックでも人間の赤ん坊と同じぐらいなのに」
 帰り道にサレカさんが戸惑いと驚きを含んだ口調でそう言った。
「私もスカヴアで初めて出会った時は驚いたわ。この世に全部で8羽 …… これから孵る卵を含めると9羽しかいない稀少な種族よ」
「あの子、イェラのお友達なんでしょう?」
「 …… ええ。そうよ」
「あんな所に閉じ込められていたらかわいそうだよ。私には何の力もないけど、父にシッパウワさんを説得してくれるように頼んでみる」
 サレカさんがそう言ってくれたのは本当に嬉しかったけれど、ヤゴイ氏といえども、あの強情なマシュカンを説得するのはかなり難しいと思う。
「ありがとう。他の方法でうまくいかなかったら、そうしてもらうかもしれない。でもまずは自分で手を尽くしてみるわ」
「何か良い方法がありそう?」
「正直言って、まだ全然思いつかないけどね」
 私は肩を竦める。でも万策尽きれば、力ずくでセア・エットを連れ出して、この国を抜け出す覚悟はあった。でも、そうしたらまた流浪生活に逆戻りだ。できることなら他の方法を探したい。 ≫ 第26話「お姉さんと呼びなさい」

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