四期遣使の屋敷に招かれました

≪ 第22話「外交官の御令嬢たち」

第23話「四期遣使の屋敷に招かれました」

「ぐははは。シャパの中でも比類なき名家と呼ばれるシッパウワ家へようこそ!」
 四期遣使マシュカン・シッパウワは、大きなお腹の肉を震わせて豪快に笑う。
 自分で「比類なき名家」とか言うかしらね、普通。そんなことを思いながらも、
「お招き頂いて、光栄ですわ」
と引きつった笑顔で応じる。サレカさんなんて作り笑いすらせずに、ぶっきらぼうな表情で黙ってスープを口に運んでいる。
「料理はたっぷり用意しておいたから、遠慮なく食ってくれ。この国の貧相な食文化では一生味わえないようなものばかりだぞ。うはははは」
 まあ! 失礼ね!

「あなた、そんなことを言っては失礼よ」
 シッパウワ夫人が夫の腕に手を置いて窘める。
「うむ? わしは何か失礼なことを言ったか?」
「この国の人たちは質素倹約を美徳とするのです。このまえ、マドマナというものをいただいたのですけどね、まさに質素を地で行くようなお味でしたわ」
「おお、おまえ、まさかそれを全部食べたのか?」
「招かれた以上は食べなくては失礼だと思って、半分ほどいただきました」
 しっかり残してるじゃないの。
「そんなものを半分も! おまえは遣使の妻の鑑(かがみ)だな。よくぞ耐えてくれた!」
「お母様、かわいそう!」
 ニンバンダが母親のもとに行って膝に手を置いて慰める。

 この似たもの家族が! 私は心の中で怒鳴る。
 でもまあ、確かに料理は豪勢で美味しかったので、しっかり平らげてしまった。どんな状況であっても食べられる時に食べておく、という習慣が身についてるのだ。サレカさんは少しも食欲なさそうで、スープと前菜以外はほとんど口をつけていない様子だった。

「お父様、イェラーさんは、お店を経営していて色々と変わった物を売っているのです。昨日、不思議な品物をたくさん見せてもらいました。とても楽しかったです」
 ニンバンダが声を弾ませて言った。
「おお、そうかね。それは良かったな」
「それでそのお礼に、今からイェラーさんに私の持っている物を見せてあげます」
「ほうほう。何を見せてあげるのかな?」
「ついこのまえ、お父様から贈っていただいた、あれです」
「おお! なるほど、あれか! 大型宇宙船一隻に相当する金額を払って手に入れた貴重なものだからな。あんなものをいきなり見せたら腰を抜かすかもしれんぞ。ぐはははは!」
 抜かすもんですか。私は胸の内でそうつぶやいた。
 ところがそれを見たときは、不覚にも本当に腰を抜かすところだったのだ。
 ニンバンダの思惑とは全く別の意味で。 ≫ 第24話「懐かない?」

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