休日の予定

≪ 第11話「別れの時がきました」

第12話「休日の予定」

 それからなんと僅か2日後のこと。
「ラーティパを返すわけにいかないよね?」
 サレカさんが言い難そうにぼそりと呟いた。
「怒るわよ?」
 私は半ば本気でサレカさんを睨む。
「姉さんがものすごく怒っちゃってさ。返して来いの一点張りなんだ」
「予測できたことでしょう? でもあなたはそれを承知であの子を連れ帰ったのよ」
「メモアにもよく言われる。サレカは後先考えずに行動してばかりだって。叱られてばかりの人生だね」
 サレカさんに対する信頼感が急速に下がっていく。
「返すわけには?」
 なおもしつこく食い下がるサレカさんに私は鋭い視線で応じた。
「いかないよね」
 サレカさんは肩を落として俯いた。
「まあ仕方ないや。別に姉さんもラーティパに乱暴なことするわけじゃなし。私だけが姉さんの罵詈雑言に耐えていればいいんだもんね」
 なおも哀れを誘おうというサレカさんを私は無視した。

「話は変わるけどさ。明後日のお休み、何か予定ある?」
 本当に全く話を変えてきた。
「予定と言われても。世間はお休みでもお店は営業するから」
「たまにはお店を閉めて私たちと一緒に遊びに行かない? どうせお客さんだって …… 」
 はたと気づいて口を噤むサレカさん。
「ほほほ」
 私はなんとなく笑ってみる。
「えへへ」
 サレカさんもなんとなく笑いを返す。
「ほほほ」
「えへへ」
と妙な笑いの応酬が続く。おかしくないわ!
「どうせ流行らないお店ですからね」
と自嘲気味に言ってみる。
「ええとね、とにかくね、明後日は四都に行ってみない?」
「四都?」
「『春は四都』ていう言葉があるの。綺麗な町だよ。国都より小さな町だから気温は高めに設定されてる。だから春の陽気を楽しむにはうってつけなんだ」
「何だか保養によさそうね」
「 …… イェラ、おばさんみたい」
「こほん。そうねえ。思い切って行っちゃおうかな」
「決まり! うーんと楽しもうね!」
 サレカさんてば子供みたいに両手を上げて喜んでいる。
 ≫ 第13話「四都の春」

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