繁栄の道、商業機構、軍事条約、生活様式

 [SF 設定資料集]シスタリ(小麦と繁栄の道、商業機構、軍事条約、生活様式

カナバ山脈西部山麓

 惑星メルードラの大陸(ベスヤサリ)北東部、アロア地方のカナバ山脈西部山麓に沿う細長い地域を北緯五十七線で分割して、北部にシスタリ、南部にエルマ氏族の領土があります。エルマ氏族はヤサリ民族ですが、ラヤ人という括りで呼ばれることもあります。ヤサリがマザニ人を撃退した後、シスタリに混じって、グナ・バリコ(小麦の道)における交易活動で大きな繁栄を遂げたラヤという氏族がいます。そのラヤ氏族から分かれ出た諸氏族をラヤ人と称しています。ヤサリが長い放浪を終えて惑星メルードラに入植を始めた頃、シスタリとラヤ人はアロア地方の一部を先住民族のガラモイから購入し、独自に入植していきました。入植者の多くがエルマ氏族でした。このとき、かつて別れたヤサリとラヤが再び「合流」したのだと言えるかもしれません。その後、月の開発が進むにつれて、アロアのシスタリ領では、月への人口流出が相次いだために過疎化してゆき、領土のおよそ三分の二がエルマに売却されました。現在では、惑星メルードラにおけるシスタリの領土はアロア地方極北のごく狭い地域だけです。
 

繁栄の道

 私たちが月(シスタラ)の民、すなわちシスタリと呼ぶ人々は、私たちにとって最も身近な異邦人と言えるでしょう。シスタリとはハーリ語の呼び方で、彼らは自分たちのことをネバクの民と呼んでいます。シスタリはグナバリコ(小麦の道)やウピスバリコ(繁栄の道)を築きあげ、交易によって栄えてきた民です。
 シスタリという民を一つの枠組みの中で捉えようとすると、かなり複雑です。シスタリはバリコに沿って多くの商業拠点を建設しましたが、諸地域を統括する中央政府は存在しません。基本的に各地域は独立していて、地域ごとの政治形態は様々です。シスタラのシェト・サザドは王政国家で、惑星メルードラのアロア地方と第一衛星(ヴィングカーヤ)の一部もその支配下にあります。惑星アムーケルのコルダト地方東部沿岸地域にはシスタリの都市国家連合があり、各都市の市政官の中から連合の盟主を選出して地域を運営しています。アムーケルの軌道都市の一つ、ベナ・ヴォイジはシスタリの豪商ヴォイジ家が統治する自治国家です。惑星メルードラのカッファーラにあるイェッドはシスタリの都市ですが、完全にカッファーラ政府の管理下にあります。
 

商業機構

 このように、様々な環境や異文化の下で暮らしながら、やはり彼らは自分たちがシスタリであるという民族意識を維持しています。その大きな要因の一つとして、ベディメの規定と呼ばれる通商条約があります。これは各国首脳が集うシスタリ商業機構によって定められた条約です。シスタリに属する人々が同じ条件で貿易ができるよう、各地の政府は原則として通商条約を守らねばなりません。保護関税を引き上げるなどの著しい逸脱行為があれば民族全体から排撃され、経済制裁を受けるでしょう。
 

軍事条約

 長大な交易路を維持するには軍事条約も大切です。当初は、軍事に関する条項も通商条約と共にベディメの規定に織り込まれていましたが、情勢の変化に応じて独立し、今ではウル・バモル条約と呼ばれています。この中では、シスタリ国家同士の戦争を禁止する条項や、各国の防衛圏(自国だけでなく、隣接する政治区域の防衛が義務付けられています)の割り当て、軍備制限(一国が他のシスタリ国家を圧倒するほどの軍備を持つことを抑えています)などについて述べられています。ウピスバリコの一点でも途切れれば、シスタリ全体が大きな打撃を受けるのですから、条約は定期的に見直され、改締が図られています。
 

生活様式

 生活様式に見るシスタリの大きな特徴は、中流層の人々が自分の家や土地、さらには家具すら持たないことです。貿易会社は家具を完備した社宅を用意しているため、人々は常に転勤に備えています。また、中小規模の貿易業を営む船主のために、政府や共同体は低価格で公営住宅を貸し出しています。いわゆる豪商と呼ばれる富裕層の人々は複数の都市に邸宅を所有しています。住宅費を払えない最下層の人々や奴隷、外国人居留者の多くは船員として船で暮らしています。我が国において、運送業やホテル業の多くをシスタリ系企業が占めるのは、彼らの「機動的」な生活様式に由来します。また、シスタリ系ホテルの大部分が一般的な人々に利用しやすい「清潔で簡素な中流的」ホテルであることは、シスタリ社会では中流層が圧倒的多数を占めていることを示しています。
 シスタリとラヤは混淆し、今や一つの民族だと主張する人もいます。シスタラを起点とし、ウピス・バリコ(繁栄の道)に沿ってシャリク、エムティカス、サラット、ウリカ星系へと向かうにつれて、確かに混淆の傾向が強くなっているようです。しかし、アロア地方に住むエルマの人々を見る限り、外見も生活様式も私たちとほとんど変わりません。氏族保守、高学歴志向、といった指摘はある程度は的を射ているかもしれません。しかし、時間に正確である、勤勉である、潔癖であるといった面もシスタリ文化の影響であると言えるでしょう。

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