距離が離れすぎていると使えません

≪ 第42話「恋とは理屈ではなく、不条理そのものなのです」

第42話「距離が離れすぎていると使えません」

「ねえねえ、イェラ。あの転送装置は動いている宇宙船でも使えるのかな?」
 3日ぶりに月面の船から帰って来たセア・エットが唐突にそんなことを訊いた。
「え? さ、さあ。わからないけれど、たぶん無理じゃないかしらね。やめておいたほうがよさそうよ」
 転送装置を譲ってくれたガラモイの技術者が有効距離は2エリゴー程度と言っていたような気がするけど ……
「1エリゴーは何ベナルだっけ?」
 私はそう訊いてみるけれど、
「 …… 知るわけないじゃん」
 セア・エットは肩をすくめる。さてはこの子、あまり勉強しなかったな。人のこと言えないけど。エラカダ単位からヤブゴナ単位への変換がよくわからなかった(端末を使えば計算できるけど面倒くさかった)ので、
「たぶん、同じ月の中でしか使えないと思う」
と曖昧に答えておいた。

「そうかー。使えないのかー」
 セア・エットは、ちょっとがっかりした様子。
「どうして、そんなこと訊くの?」
「ううん。なんでもない」
 セア・エットはそう答えると「ふわあ」と大きな欠伸をしてから、私のベッドに飛んで行き、丸くなって昼寝を始めた。

 ≫ 第43話「城塞市場」

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