文具屋じゃないけど手帳を置いてます

 ボツになった SF小説の文章断片です。

文具屋じゃないけど手帳を置いてます

「あら、いらっしゃい。今日は何の御用かしら」
「そろそろ来年の手帳が入ってるんじゃないかなと思って」
「 …… うちは文具屋じゃないけど」
「手帳、ないの?」
 サレカさんは首を傾げる。
「 …… それがあるのよね。先週、いくつか仕入れておいたわ。3種類あるから、好きなデザインのものを選んでちょうだい」
 私が向かって右手にある雑貨を並べた棚を指差した。
「へえ。どれもデザインが素敵だね。イェラ、センスがいいから」
 サレカさんは棚の前で手帳を見比べながらそう言った。
「どうも、ありがと」
 サレカさんがカウンターに置いた手帳を袋に入れて手渡してから、どうしても気になっていたことを尋ねる。
 

実際に行って、その目で確かめます

 ぎこちない手つきで操縦桿をにぎるサレカさんの様子を見ると、なんとなく不安になる。重要行政区の地図は第1級軍事機密になっているので、アプサス(ナビゲーション機能)や自動運転機能を使えない。町の造りを知りたければ、実際に行って、その目で確かめるしかない。
 

非難されるいわれはありません

「よければ家で食事をしていかないかね」
 私がルクアトブを追い出したことに気を良くしたのか、バテアト卿は苦笑しながらそう言ってくれた。少し迷ったけれど、せっかくの招待を断るのも勿体ないし、お腹も空いていたし、この家は暖房がよく効いていて暖かいし、きっと豪勢な食事をいただけると思ったので
「光栄です、閣下」
と快く了承した。でも
「うらぎりものー」
とまた、背後からサレカさんの非難の声が聞こえた。
 

おじさんを宥める装置?

 そりゃ怒るでしょうよ、と思いつつ、
「でも、そんな話を持ち込まれても、私にはどうすることもできないし …… 」
と言うと、
「不思議な品物でなんとかして! おじさんを宥める装置とかあったら、高くても買うから!」
 サレカさんが無茶な事を言った。
 あるわけないだろ、そんなもの、と思いながら
「そういう物はちょっと置いてないかなあ」
と答える。
 

引き継ぎます

 彼女がこの壮大な構想に着手し、それをハノマラク、そしてあなたが引き継いでいるのです。運河が予想以上に早く完成したことに、私は賞賛を惜しみません。
 

ダナケル王国

 統一戦争以前、南北両陣営の狭間で王制を維持しながら生き残り、中立条約を結んでいたメルハールのアモケール侵攻の機会を逃さず、共産主義国に奪われていた領土を回復。さらに北部へ侵入し、新たな領土を獲得することに成功する。

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